OpenAI社が開発したアシスタントAIのChat-GPTですが、「思った回答が得られない」「どう活用すれば良いか分からない」「間違った回答になってしまう」。そんな悩みや不安がありうまく活用できないケースは少なくありません。
OpenAI社がChat-GPTに対してよりうまく活用するためのコツとして「より良い結果を得るための6つの戦略」を公開しています。
こちらの6つは「プロンプトエンジニアリング」における戦略となっており、内容によっては「開発者向け」の高度な技術が求められる内容もあるため一部は割愛していますのでご理解ください。
本記事の内容は「Chat-GPT一般利用ユーザ向け」の内容となっています。
今回はその公開情報を整理しつつ実際に検証していくことにしました。
検証にあたりより精度の高い人工知能モデルGPT-4は有料版のみとなっているため、GPT-4が無料で利用可能なMicrosoft社が提供しているCopilot(Bing Chat)を利用しています。
Copilotについては以下記事で詳しくご紹介しています。
EdgeサイドバーからCopilot(Bing Chat)を使う方法が最強!?
Chat-GPT(Copilot)プロンプトエンジニアリングとは何か
- プロンプトエンジニアリングとは、タスクや振る舞いを指示するためのテクニック
- プロンプトとは、AIモデルに入力する指示文のことで、質問や命令、文脈、例などの要素から構成
- プロンプトエンジニアとは、プロンプトの設計・開発を行う職業のことで、プロンプトの機能や精度を向上させるためにAIモデルを分析・最適化
- プロンプトエンジニアリングを身につけるメリットは、AIが生成するコンテンツの精度向上や作業の効率化・コストダウンなどです。
- プロンプトエンジニアリングの習得に必要なスキルは、自然言語処理への基礎知識、プログラミングスキル、自然言語処理に用いるライブラリ/フレームワークを扱うスキル、言語化力、創造力などです。
簡単に言うとChatGPTへの指示を行うためのテクニックです。
このテクニックやコツを知っている、活用次第で冒頭に説明した「期待していた回答が得られない」などの悩みを解決できる可能性が高まるので是非参考にしてみてください!
プロンプトエンジニアリングの6つのテクニック
- 明確な指示を書く
- 参照テキストを提供する
- 複雑なタスクをより単純なサブタスクに分割する
- モデルに「考える」時間を与える
- 外部ツールを使用する
- 変更を体系的にテストする
上記は元々英文をEdgeブラウザ機能で日本語に自動翻訳した内容のため若干不自然ではありますが、
内容を把握しながら進めていきます。
本記事とは少し毛色は異なりますがWindows11でもデスクトップ上でCopilot(Bing Chat)を利用した様々な活用方法があるので気になる方は是非!
Microsoft Windows Copilot (AI機能搭載)の使い方を解説(機能一覧)
Chat-GPT(Copilot)プロンプトのコツ① 明確な指示を与える
悪い例 | 良い例 |
---|---|
この文章を要約してください。 | この文章を100文以内に要約してください。 |
この画像を説明してください。 | この画像に写っている人物や物、場所、感情などを説明してください。 |
総理大臣を教えて | 最新の総理大臣を教えて。2020年の総理大臣を教えて。 |
この問題を解いてください。 | この問題を解いて、答えと解法の説明を書いてください。 |
簡単に言えば「より詳しい指示を与える」となります。例としては上記の通り「文字数指定」や「具体的に説明して欲しい情報」を与えたり。この辺りは直ぐにでも思いつきそうなテクニックですね!
その他になるほど!だったり「これは忘れがち」なテクニックも紹介されていました。
コツ | 参考例 |
---|---|
モデルにペルソナを採用するよう依頼する | 2ch創設者のひろゆきさんみたいなコミュニケーション力を身に着けるにはどうすればよい? |
区切り文字を使用して、入力の個別の部分を明確に示します | 三重引用符で区切られた文章を要約して “””ここにテキストを挿入””” |
タスクを完了するために必要なステップを指定する | 起承転結の流れで〇〇の文章を書いて |
出力の長さを調整 | 1000文字以内でひろゆきさんについて教えて |
「ペルソナ」というか例に近いですが「ひろゆき」さんを例にコミュ力を上げるには?と質問した際の回答です。
要約すると以下の通り「ひろゆき」さんの特徴に焦点を当てた回答が得られました。
- 会話の「型」を知る
- がんばらない勇気
- 人とうまくつきあうこと
その他にも出力形式の指示で例えば「一覧表で出力して」「箇条書きで出力して」と言ったように指示することでより好みの形式で出力してくれる点も便利です!
Chat-GPT(Copilot)プロンプトのコツ② 参照テキストを提供する
「参照テキストの引用からモデルに回答を得る」
大きく以下の2つのパターン
- 参照URLを提供してあげる
- 参照テキストを用意 ”””<参照テキスト>”””
1つ目についてはEdgeブラウザのサイドバーでBing Chat(Copilot)を利用している場合は、ブラウザで開いているページがあればテキスト情報やYouTube動画の内容まで把握することができます。
以下三重引用符の内容を要約して
“”” <テキスト> “””
2つ目については上記の通りプロンプトへ事前情報として与えたい情報については三重引用符の様な記号を使うことでAIに判別させることができるため、汎用的に活用することができます。
少し詳しい方であれば以下の深津式汎用プロンプトが有名ですね!
#命令書:
あなたは、{text}です。
以下の制約条件と入力文をもとに、 最高の結果を出力してください。
#制約条件:
・文字数は{text}
・{text}
#入力文:
{text}
#出力文:
深津式プロンプロの事例
#命令書:
あなたはプロのコピーライターです。
以下の制約条件と入力文をもとに、 最高の結果を出力してください。
#制約条件:
・文字数は30文字
・20代が面白いと感じるキャッチコピー
・10パターン
・箇条書き
#入力文:
Chat-GPTをより多くの人に広めるために、SNSで発信するための文章生成
#出力文:
こんにちは、これはBingです。文章生成のお手伝いをします。😊
入力文に基づいて、以下のようなキャッチコピーを考えてみました。どうぞご覧ください。
- Chat-GPTで話そう!AIとの会話が楽しい
- AIと仲良くなる方法?Chat-GPTを使ってみよう
- Chat-GPTはあなたの話し相手。AIとのチャットで発見がいっぱい
- AIとおしゃべりするならChat-GPT。あなたの言葉に反応してくれる
- Chat-GPTでAIと交流。思わぬ返答に驚くかも
- Chat-GPTはAIとのコミュニケーションツール。あなたの話題に合わせてくれる
- AIとの会話ができるChat-GPT。あなたの知らないことを教えてくれるかも
- Chat-GPTでAIと友達になろう。あなたの興味に応えてくれる
- Chat-GPTはAIとの会話を楽しむアプリ。あなたの質問に答えてくれる
- AIとのチャットができるChat-GPT。あなたの話を聞いてくれる
いかがでしたか?Chat-GPTをSNSで広めるのに役立ててくださいね。😊
Chat-GPT(Copilot)プロンプトのコツ③ 複雑なタスクをより単純なサブタスクに分割する
少し分かりにくいですが一例としては、
- 長文を要約してサブタイトルに分解する
これは活用方法の一つとして、例えば長文や長尺動画の内容を把握する際に要約した情報を得たい場合や情報を整理する際に有効な手段です。
先ほどもYouTubeの要約については触れましたが、例えば1時間超えの長尺動画についても、シーン毎にサブタイトルと概要レベルで分解してくれるため瞬時に全体象を把握することができます。
上記の画像は数分程度の内容ですが数回依頼することで全体の動画の流れを把握することができます。くわしくは以下の記事でまとめています。
EdgeのCopilot(Bing Chat)を使ってYouTubeの内容を要約する使い方!
Chat-GPT(Copilot)プロンプトのコツ④ モデルに「考える」時間を与える
例えば計算に関するプロンプトを投げた場合、いきなり回答を得る場合に誤った回答となるケースがあります。
ですが、「計算式の流れも合わせて教えて」の様に過程も聞くことで考える時間がありより正確な回答を得られる可能性が高まるようです。
とのことでしたが実際に上記のプロンプトをBing Chat(Copilot)に質問すると過程も含めて正しい回答が得られました。
X(旧Twitter)でもバズッた程引っ掛けの問題でしたが、さすがGPT-4さん。賢いし進化してますね!折角なので回答を張っておきます。
この問題は、連立方程式を使って解くことができます。次のように設定します:
- りんごの値段を
R
、みかんの値段をM
とします。 - 問題から、次の2つの方程式を得ることができます:
R + M = 500
(りんごとみかんの値段が合計で500円)R = M + 400
(りんごはみかんより400円高い)
これらの方程式を解くと、みかんの値段 M
が求まります。
まず、2つ目の方程式を1つ目の方程式に代入します:
M + 400 + M = 500
これを整理すると:
2M + 400 = 500
これから
2M
を求めると:
2M = 500 - 400
したがって:
2M = 100
最後に
M
を求めると:
M = 100 / 2
したがって、みかんの値段は50円です。よって、みかんの値段は50円です。🍊
少し残念だったのがこの問題は1次方程式でも解けるのでそちらの方がよりスマートなので今後の進化にも期待します。
Chat-GPT(Copilot)プロンプトのコツ⑤ 外部ツールを使用する
こちらは外部ツールやAPIを使った戦略となり難易度が高いため今回は割愛します。
Chat-GPT(Copilot)プロンプトのコツ⑥ 変更を体系的にテストする
こちらも内部的/技術的な内容でしたので割愛します。
Chat-GPT(Copilot)のプロンプトテクニックまとめ
- より詳しい内容を指示
- 前提条件となる情報を与える(参照テキストの情報提供)
- 複雑でボリュームの多い情報を要約することが得意
- 考える時間を与えてあげよう(過程も回答に含める)
最も重要な要素としては1つ目のより詳しい情報を与える必要がありますが、その中でも役割やペルソナ、例、文字数指定など様々な情報を与えることでより求めている情報に近づくことができると体感しています。
EdgeのCopilot(Bing Chat)はテキストチャットですが画像生成(DALL-E3)も可能なため、今後の活用の幅もどんどん広がってきて楽しみです!
2024年はCopilotのモデルがGPT-4から更に進化したGPT-4 Turboモデルが無料で利用でき、更に画像生成モデルも進化するとMicrosoft社の発表もありました。
Copilot(Bing Chat)2024年にはGPT-4 Turboや最新DALL-E3に進化!
私も今後のChat-GPTなどのAIの進化と一緒にAIライフを楽しんでいこうと思います。
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